明治大学 政治経済学部
高峰ゼミナール
専門演習 2024年度のゼミ
サブテーマ:「スポーツ and/or ジェンダー」
■ 内容
2024年度にゼミとして取り組むサブテーマは「スポーツとジェンダー」です。
多くの人たちがスポーツを行うようになり、オリンピック大会に出場する日本選手団の半数は女性アスリートが占めるようになりました。
しかし指導者やトレーナー、各協会の役員、あるいはアスリートの活躍を伝える新聞記者の多くは、依然として男性で占められています。
その結果、女性の意思を反映していないルールが決まり、女性の身体の問題を無視したトレーニングが行われ、場合によってはセクシュアルハラスメントが起こり、また女性アスリートの活躍が矮小化されて報道されています。
また青少年期においては、年齢が上がるに伴って女子は男子よりも運動・スポーツを実施しなくなっていきます。
同時に日本の若い女性の間では必要以上に細い身体に憧れる「痩身願望」が強い傾向がみられます。
他方、男子もスポーツを続けるためにオーバートレーニングやハラスメントに耐えることを強いられています。
しかし社会人になると仕事優先の生活を余儀なくされ、多くの人がスポーツを楽しむ時間を確保できずにいます。
よく考えてみると、スポーツは私たちの日常生活に関わる他のどの領域よりも「性」の問題と深く関わっていると言えるかもしれません。
競技スポーツは、たとえそれが地域レベルでの大会であっても「男子競技」と「女子競技」に分けて行われます。
この性別の区分けを厳密に行うために、オリンピック大会を初めとするいくつかの国際競技大会では「性別確認検査」が行われた時代がありました。
世の中には、身体としての性別が典型的な「男性」と「女性」どちらにもあてはまらない人たちが少なからずいます。
そうしたアスリートはどちらの競技に参加したらよいのでしょうか。
競技スポーツが抱える大きな課題になっています。
ここ数年でLGBTということばが一気に普及しました。
LとGは同性愛、Bは両性愛を意味しますが、こうした性的指向は基本的にスポーツの実施には何ら関わりません。
しかし実際には、スポーツに関わる人間関係において性的指向をめぐる差別的言動が行われいます。
スポーツ界は性的マイノリティの人たちにとって安心してスポーツ行える環境にはなっていないようです。
このように、スポーツは「性」の問題と深く関わる領域としてあります。
ですので、スポーツについて「性」の問題から考えることは、スポーツについて深く理解するにあたっては避けられない課題です。
「スポーツとジェンダー」というテーマは研究の歴史も浅く、研究者の数も多くありません。
そのため、取り組むべき研究テーマは数多く残されています。
■ テキスト(例)
一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同(2019)「ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた」明石書店
千田有紀・中西祐子・青山薫(2013)「ジェンダー論をつかむ」有斐閣
青野篤子 編著(2016)「アクティブラーニングで学ぶジェンダー」ミネルヴァ書房
飯田貴子・熊安貴美江・來田享子 編著(2018)「よくわかる スポーツとジェンダー」ミネルヴァ書房
■ 外書文献(2020年の例)
Jörg Matthes, Michael Prieler and Karoline Adam (2016) "Gender-Role Portrayals in Television Advertising Across the Globe", Sex Roles 75:314–327.
■ 年度活動予定
・1月:ゼミ内卒業論文発表会
・3月:ゼミ合宿(新3年生)・追いコン
・8~9月:ゼミ合宿(3・4年生)
・秋:3年生による共同研究発表
・11月末:4年生のゼミ内卒業論文提出
・12月中旬:新歓イベント
■2024年度のスケジュール
・2024年度は金曜1限に外書講読、2限に卒業論文(3年生)、3限に卒業論文(4年生)のゼミを開講します。新3年生は3限に、新4年生は2限にそれぞれ出席してもらいます。